北海道ガスの取り組み紹介③
~業務用お客さま向けサービス[Mys3]について~
2023.07.10
北海道ガス株式会社(以下、北ガス)および株式会社エナジーソリューションは、
2023年6月1日より、業務用お客さま向けのサービス「Mys3」(以下、ミース)
の提供を開始しました。中小規模のお客さまを対象としたサービスで、
今回はその第一弾として、「i-Ch(intelligent chiller:アイシーエイチ)」および
「REM(room environment measurement:レム)」をリリースしました。
詳しくはこちらをご覧ください。
「i-Ch」は、吸収式冷温水機※の遠隔省エネサービスであり、
お客さまの設備に制御装置を取り付け、
冷温水温度を常時監視し自動で省エネ制御を行います。
「REM」は室内の二酸化炭素、温湿度を、親機・子機を用いて計測し、
それらのデータを見える化にすることで、省エネ意識や快適性の向上を目指します。
今回は、ミース開発担当者の一人である
北ガスの小笠原さんにお話を伺いました。
◆アピールポイント
ミースのアピールポイントは、
安価で容易な導入に特化した省エネニーズにお応えできることです。
従来の省エネ設備は多機能で高価格なものが大半で、
初期費用や大規模工事など導入ハードルが高いケースが多くありました。
そのため、省エネ設備を導入できる物件は、新築や規模の大きい建物に限られました。
ミースはそういったこれまで省エネサービスを導入することができなかった
中小規模のお客さまにフォーカスした省エネサービスとなります。
また、ミースは単体のサービスでも利用できるため段階的な導入が可能であり、
それらの機能を組み合わせることで省エネ効果を広げていけるように開発しました。
機能を絞ることで初期費用が発生せず、お客さま側の準備も必要がなく、
設置するだけでサービスを始められるようにし、
さらに導入後に省エネを見える化することで、
お客さまに省エネを実感してもらえるようにしています。
◆開発秘話
プロジェクトとして開始したのは3年前でした。
吸収式冷温水機を利用しているお客さまは、設定を変更せずに一定温度で
運用するケースが多く、中間期に冷房が効きすぎるといった省エネの余地がありました。
また、手動設定ではこまめな設定値の変更が手間であること、
人件費や時間も割けない問題がありました。
これらの問題をデジタル技術で解決できないかとプロジェクトが立ち上がり、
北ガス独自のものとして一から自分たちで開発を始めました。
これは、北ガスとしても事例の少ないチャレンジングなものでした。
そのため、当初は不明点が多く、デバイスを作成しても全く動作せず、
機能をプログラムしてもエラーとなり上手くいかないことがありましたが、
そのたびにその理由を考察し、自分たちに足りないものを勉強し、工夫を施すことで
徐々に製品として形になっていきました。
また、自分たちでシステム全体を組み上げることで、どこの機能が問題で修正したいのかを
素早く共有することができ、レビューを短期間に繰り返すことが出来ました。
ミースの基本構成はクラウドとIoTになります。
この基本構成であれば、規模感が小さくても拡張性が持たせることができ、
今後のお客さまのニーズに合わせてスピーディーかつ柔軟に機能を追加することが可能です。
このような開発経験は、自分たちの成長はさることながら、
業務のノウハウを蓄積することができ、北ガスグループの今後の省エネサービスや、
カーボンニュートラル社会の実現に向け大きく寄与することができました。
◆Mys3という名前の由来
ミースという名前は開発が終わってから決めました。
「i-Ch」と「REM」は、開発当初から決定していた名前なので、
それらをまとめた際に自分たちで開発するのだから、
名前も外部にお願いするのではなく自分たちで名付けようと決めました。
最初は、北海道にちなんだ良い言葉をと、
アイヌ語で自分たちの製品に近しい言葉がないか探して意見を出し合いました。
そこから様々な言語を探し歩いた結果、スウェーデン語の「Mys:ミース」という
言葉に行き着き、M、Y、Sのそれぞれに適合する言葉を当てはめました。
ミースは楽しい心地良いという意味からお客さまに楽しい心地良いサービスを提供するとし、
そこにデジタル技術を掛け合わせ、「make your smart solution service」と名付けました。
◆今後のサービスに向けて
ミースの今後のサービス拡充としては、ボイラー、冷凍機の制御も考えています。
i-Chは今後、データ収集していくことでより高精度の制御でお客さまの省エネに寄与し、
REMは取り付けるセンサの種類を増やすことで拡張性が高く、様々なサービスと組み合わせて
効果を発揮するものとして提供することを考えています。
これらも基本構成に機能を付け加えることで実現し、様々なニーズに応えていきます。
※吸収式冷温水機: 温水や冷水を室内に循環して冷暖房を行うセントラル空調向けの熱源機です。
水が蒸発するときに、周りから熱を奪い取る気化熱を利用して冷温水を製造しています。
吸収式では、水の気化熱を利用した空調システムとなるため、
地球温暖化に影響を及ぼすフロンなどを使わず、環境にやさしい熱源機です。